変形性膝関節症

疼痛に関するお悩み
立ち上がりや起き上がりの動作、歩行を始めた際に膝関節に痛みが生じることがあります。特に、下り坂や階段を下りる動作で痛みが強くなることがあります。また、長時間歩行した際に、膝関節に違和感を覚える場合もあります。
可動域・機能面に関するお悩み
膝関節の曲げ伸ばしに制限があり、日常生活に支障を感じることがあります。正座やしゃがみ込み動作が難しく、和式トイレの利用が困難になる場合もあります。膝関節のこわばり感や動かしにくさを感じることがあり、特に冬場など冷えが強い時期に顕著に現れることがあります。
精神的・心理的なお悩み
痛みが続くことでストレスを感じやすくなります。仕事や家事が思うように進まず、負担を感じることがあります。徐々に症状が強くなり、将来的な歩行能力の低下に対する不安を抱く場合もあります。趣味や運動を制限せざるを得ず、喪失感を覚えることもあります。
睡眠・休息への影響
寝返りを打つ際の痛みで目が覚めることがあります。その影響で疲労が抜けにくくなり、日中の活動量が低下することがあります。
周囲との関係・社会生活でのお悩み
外出や集まりを断る機会が増え、孤立感を感じることがあります。また、介助や配慮を周囲にお願いすることに対して、心理的な抵抗を感じる場合もあります。
変形性膝関節症に対する当院の考え

変形そのものを元の正常な状態に戻すことは難しいですが、膝にかかる負担を減らし、痛みを軽減し、現状を維持しながら悪化を防ぐことを目的として考えています。あわせて、将来的に手術を必要とする状態にならないようサポートすることも大切だと考えています。
また、膝だけに着目するのではなく、膝を構成する内部組織や、膝の動きに関わるすべての筋肉を含めた身体全体のバランスを整える施術が重要です。そのため、日常生活動作にも注目し、歩き方や立ち上がり動作の癖などが関係している場合には、指導や介助方法などの機能訓練についての説明も必要だと考えています。
変形性膝関節症は長期的な付き合いになることが多いため、整骨院では「その場の痛みを和らげる」だけでなく、「なぜ痛みが出ているのか」「今後どのようにすれば悪化を防げるのか」「なぜ膝以外への施術も必要なのか」「手術とどのような違いがあるのか」といった点を分かりやすくお伝えし、整骨院でできることを明確にすることが大切です。
整骨院では、痛みの軽減と生活の質(QOL)の向上を目指すことができます。患者様ご自身が身体の状態を理解したうえで、前向きにケアへ取り組めるようサポートすることが、整骨院の重要な役割であると考えています。
変形性膝関節症を放っておくとどうなるのか

変形性膝関節症に対して適切な対応を行わずに放置した場合、症状は年単位で徐々に進行していく傾向があります。
おおむね1~4年の経過で、膝関節の違和感や動作開始時の痛みが強くなり、大腿四頭筋を中心とした筋力低下が始まります。痛みが慢性化することで、関節包や周囲組織の柔軟性が低下し、可動域の制限や腫れがみられるようになります。その結果、痛みをかばう代償動作が定着し、腰部や反対側の下肢への負担が増える場合があります。さらに、軟骨の摩耗や骨の変形が進行し、歩行能力の低下から活動量が減少します。これにより、筋力や持久力の低下が進み、日常生活動作に支障をきたす状態へとつながります。
その後は、安静時にも痛みが出現したり、関節の変形が固定化したりすることが目立つようになります。この段階では、保存的な施術のみでの痛みの軽減が難しくなり、外科的な施術を検討する段階に至る場合があります。
また、外科的な施術(手術)では、人工関節置換術などの大がかりな内容が基本となることが多く、手術前と同じような仕事や日常生活を送ることが難しくなる場合があります。さらに、長期間のリハビリが必要となり、状況によっては複数回の手術が必要になる可能性もあります。
変形性膝関節症の軽減方法

膝関節周囲の筋肉、特に大腿四頭筋やハムストリングスの柔軟性や筋力を高めることで、膝関節にかかる負担の軽減が期待できます。これにより、日常動作時の膝へのストレスが少なくなります。
さらに、姿勢や歩行動作、立ち上がり動作について指導を行い、膝に過度な負荷がかからない身体の使い方を身につけることが、症状の軽減につながります。日常生活においては、体重管理や運動量の調整、セルフケアの継続が重要です。早期から適切な保存的な対応を行うことで、痛みの軽減や症状進行の抑制が期待できます。
また、ストレッチや運動、筋力トレーニングを行う際は、身体が温まっている状態で行うほうが、筋肉が伸びやすく効果が期待できます。そのため、事前に患部や身体全体を温め、十分に柔軟性を引き出してから行うことが大切です。
変形性膝関節症の軽減が期待できる施術メニューは?

「手技療」
膝関節周囲の筋緊張や関節の動きを整えることを目的とした施術です。大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿の筋肉を中心にアプローチします。これにより、痛みや動作時の不快感の軽減が期待できます。
「矯正による骨盤・股関節バランスの調整」
膝への負担は、骨盤や股関節のゆがみが大きく影響すると考えられます。そのため、下半身全体のアライメントを整える施術を行います。膝に集中している負荷を分散させることで、再発や症状進行の予防を目的としています。
「超音波」
超音波を用いて血流を促し、痛みの緩和を図る施術です。深部まで刺激が届くことで、膝周囲の不快感の軽減が期待できます。
「鍼」
変形性膝関節症に伴う慢性的な痛みや筋緊張の緩和を目的として行います。膝関節周囲の経穴(内膝眼、外膝眼、血海、梁丘など)や、大腿部・下腿部の筋緊張がみられる部位に鍼を行い、血流の促進と痛みの軽減を目指します。
また、鍼刺激によって筋肉の過緊張を和らげ、関節可動域の軽減が期待できることで、手技療法や運動療法のサポートにつながります。痛みが強く手技による刺激に抵抗がある方や、長期間症状が続いている方にも選択されることがあります。
その施術を受けるとどう楽になるのか

変形性膝関節症に対して、手技療法、関節・骨盤調整、運動療法、鍼施術を組み合わせた自費施術を継続的に行うことで、症状は段階的に軽減していくと考えられます。
施術開始から約1か月では、鍼施術や手技療法により膝関節周囲の筋緊張が和らぎます。血流が促されることで炎症反応や痛みの軽減が期待できます。動作開始時の痛みや歩行時の不安定感が和らぎ、日常生活で感じる不快感が少なくなる傾向があります。
1〜3か月では、膝関節の可動域が広がることに加え、骨盤・股関節・足関節のアライメントが整ってきます。これにより、膝に集中していた負担が分散されやすくなります。運動療法によって大腿四頭筋や臀筋の筋力が高まり、関節の支持性が向上することで、痛みの再発頻度が抑えられることが期待されます。
3〜6か月では、姿勢や歩行動作の変化が定着し、膝に負担をかけにくい身体の使い方が身についてきます。活動量が増えても痛みが出にくくなり、階段の昇り降りや長時間の歩行に対する不安が軽減される傾向があります。
6か月以降は、症状が安定しやすくなり、日常生活動作の質の向上が期待できます。継続的なケアを行うことで痛みのコントロールがしやすくなります。変形性膝関節症の進行を抑えながら、長期的に膝の機能を維持していくことが目標となります。
変形性膝関節症を軽減するために必要な施術頻度は?

変形性膝関節症の症状を軽減していくためには、症状の段階に応じた通院頻度を設定することが大切です。
痛みが強い初期から急性期にかけては、炎症や筋緊張を早い段階で抑える必要があると考えられます。そのため、この時期は週2〜3回程度の通院が望ましいとされています。集中的に施術を行うことで、痛みの軽減や動作のしやすさにつながることが期待できます。
症状が落ち着いてくる1〜3か月以降は、週1〜2回の通院へと移行します。この時期には、関節の可動域の広がりや筋力の維持・向上を目指しながら、姿勢や歩行動作の指導を継続していきます。
3か月以降は、状態の安定と再発予防を目的として、2週に1回程度の定期的な通院に加え、セルフケアを併用する方法が一般的です。無理のない頻度でケアを続けることで、症状の安定や進行の抑制が期待できます。



